ビールの雑学・ビールの泡


ビールの泡の効果

ビールの泡はビールの風味を保つ「フタ」として機能し、炭酸ガスや香り成分の揮散を抑制します。これにより、ビールの風味が長持ちし、酸化を防ぐ役割も果たします。

また、泡は飲み心地にも影響を与え、クリーミーな泡は口当たりを柔らかくし、全体的な飲みごたえを向上させます。


ビールの泡はビール液体よりもアルコール濃度が高い?

泡が単なる装飾や風味の保存だけでなく、ビール自体の成分を凝縮したものであることを示しています。

これは、1940年代に日本で行われた裁判でも証明され、東京大学の坂口謹一郎教授による分析で、泡がビール液体よりも高いアルコール濃度を持つことが判明しました。

この理由は、ビールの注がれた際、泡の部分にビール成分が凝縮されるためです。

泡にはビール酵母や麦芽の成分が豊富に含まれ、液体部分よりも高い濃度でアルコールが残ることがあります。

これにより、泡はビール全体の風味を豊かにしながら、アルコール感を引き立てる役割を果たしているのです [1]


ビールグラスに天使が降臨する?

ビールを飲んだ後にグラスの内側に残る泡の跡を、エンジェルリング(Angel Rings)と呼びます。別名「レースリング」とも呼ばれます。

ビールを飲み進めるごとに、泡が一口ずつ消えていきますが、その際にグラスに綺麗なリング状の泡の跡が残る現象です。

この現象は、ビールの品質が高く、グラスが清潔であることを示す一つの指標ともされています。エンジェルリングが美しく形成されるビールは、泡が細かく、しっかりとした持続性があることがわかります。

また、正しいビールの注ぎ方や、適切に管理されたグラスを使用することで、このリングがより鮮明に現れます。

エンジェルリングは、ビールの味わいや見た目を楽しむ上でも重要な要素とされ、ビール愛好家の間で評価されています。


白くないビールの泡もある?

ビールの泡は白いものが一般的ですが、特定のスタイルや成分によって、白以外の泡が発生する場合もあります。以下に、白い以外の泡が見られるビールの例をいくつか紹介します。

ダークビール(スタウトやポーター)

ダークビール、特にスタウトやポーターのようなビールでは、泡が白ではなくクリーム色やライトブラウンになることがあります。これは、ビールに使われているローストモルトや、カラメル化した麦芽の影響で色が変わるためです。ビールが濃い色をしている場合、泡もそれに応じて濃い色になることが多いです。


ベルギーのランビックビールやフルーツビール

フルーツビールやランビックなど、フルーツが含まれているビールでは、赤やピンクがかった泡が生じることがあります。これらは、ビールの中に使われている果物(ラズベリーやチェリーなど)の色素が泡に影響を与えているためです。


黒ビールの窒素ガス使用

窒素ガスを使ったビール、特にスタウトビール(例:ギネス)の場合、泡はよりクリーミーなライトブラウン色をしています。窒素ガスは炭酸ガスよりも泡を細かく滑らかにする効果があり、これが泡の見た目と質感にも影響します。


地域で異なるビールの泡の扱い方

ビールの泡は地域ごとの飲み方や習慣に深く根ざしています。

日本では「クリーミーヘッド」と呼ばれるきめ細やかな泡が美しいとされ、ビールサーバーの技術もこの泡を作り出すために進化しています。一方で、アメリカやイギリスでは泡を控えめにすることが一般的です。



参考

  1. アサヒント「ビールに欠かせない泡。泡の役割やビールのおいしい注ぎ方をご紹介!」https://www.asahigroup-holdings.com/rd/library/asahint/2019/03/post-6.html